NPO法人チュウヒ保護プロジェクトは、チュウヒとそれらが生きる環境を守ります。

Harrier

チュウヒについて


チュウヒってどんなタカ?

チュウヒについて

チュウヒは全長が50~60cmほど、カラスと同じくらいでトビよりも一回り小さいタカです。チュウヒは日本で唯一、ヨシ原などの地上に巣を作ります。両翼をV字型に保つ独特な姿勢で、広い草原やヨシ原、田畑などの上をゆっくり低く飛びます。チュウヒは季節によって移動もします。北海道や東北で春から夏を過ごし、秋から冬にかけては南で過ごします。また、(ユーラシア)大陸から渡ってくるチュウヒもいます。

harrier02.jpg成鳥 雄

090510ogata028.jpg巣と卵

チュウヒは3月下旬から5月にかけて産卵します。巣は主にヨシ原の中に枯れた草の茎を積み重ねてつくり、4~7個ほど卵を産みます。チュウヒの巣は上空にさえぎるものがないため、卵やヒナが弱って死んでしまうことがあります。そのため、巣は冠水(水に浸った)したヨシ原など涼しい場所を選びますが、同時に水没の危険があり、親鳥は常に巣材を補充し、積み上げています。中には水面から1mほどの高さの巣になることもあります。

チュウヒは何を食べるの?

チュウヒの主な食べ物は、野鳥、ネズミ、カエルなどです。草原、ヨシ原、田畑の上空をV字飛行でゆっくり飛びながら獲物を探し、すばやく地上に飛び降りてそれらをつかまえます。

チュウヒの餌として、小型(カワラヒワ、ホオジロなど)から大型(カモ類、サギ類など)鳥類、ハタネズミ、イタチなどの哺乳類、トノサマガエルなどの両生類、魚類、昆虫類などが確認されている。

090606ogata041.jpg空中での餌渡し
150602ogataDSC06459.JPG140529daisyoujiDSC03480.JPG

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大潟村のチュウヒ

 2010年1月にNHKの自然番組「ダーウィンが来た!生きもの新伝説」で大潟村のチュウヒが特集されて大きな反響を呼びました。撮影取材スタッフは1年をかけて調査を行い、22巣が見つかり、7巣で繁殖が成功しました。それまでチュウヒは日本国内での繁殖つがい数が50つがい程と考えられていましたから、大潟村は国内最大規模のチュウヒの繁殖地として、一躍脚光を浴びることになりました。

 かつては汽水湖の底だった大潟村ですが、ヨシ原などの自然環境を積極的に残し、農薬を減らすなど生産者の地道な努力とあいまって、チュウヒを頂点とする野鳥たちの暮らしに適した、「田畑がはぐくむ野鳥の楽園」に生まれ変わったのです。



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チュウヒに迫る危機

 全国的にみるとチュウヒの生息は危機的状況です。チュウヒが好むヨシ原や草原環境が、埋め立てや再開発などにより、急激に失われようとしているのです。チュウヒは国のレッドデータブックで絶滅危惧IB類(近い将来絶滅する危険性が高い)に指定されていますが、具体的な保護策はとられていないのが現状です。

環境省レッドリスト(2014)     絶滅危惧IB類
秋田県レッドデータブッ(ク2016) 絶滅危惧IB類

090510ogata002.jpg繁殖を放棄したチュウヒの巣